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インドネシア植林と水田再生 ―熱帯林保全と泥炭湿地再生プロジェクト―

スマトラ低湿地の持続的利用と人材育成

スマトラ島やカリマンタン島を中心に「インドネシア森林火災」が大きな問題となっている。その大きな要因は、低湿地を舞台とした近年の収奪的土地開発だ。この問題の長期的な解決には、「持続的土地利用の将来の担い手」となる地域人材の育成が急務だ。そうした試みに、リアウ州トゥンビラハン農業技術専門学校およびNGOリアウ・タニ・レスタリ(リアウ持続的農民)の人材育成計画がある。及川と阿部健一が2003年以来、この事業に関わっている。紹介したい。

リアウ州トゥンビラハン農業技術専門学校で講義を行い、またNGOリアウ・タニ・レスタリ農場での炭焼きデモンストレーションを行ってきた。

トゥンビラハン農業技術専門学校は、地元で活躍する人材育成を目的に、2003年に開校した。3年間の教育カリキュラムは実習を重視し、都市の大学と異なる特色を出そうとしている。運営資金の多くを県に依存しているが、学生達の意欲に応えていくためには、施設・教材、教員のスキル等、様々な課題を抱えている。

NGOリアウ・タニ・レスタリは、自営農民の育成を目的に低湿地でのモデル農場を2004年に開設した。参加農家は2年間の研修期間に、商品作物生産と養鶏の技術および販売を、実践的に学ぶ。経営が軌道に乗るまで肥料や飼料を外部から購入するが、持続的土地利用に向けて、籾殻くん炭と堆肥の生産・利用を始めた。土地開発の基本方針は、内陸の泥炭湿地林を温存し、河川沿いの堆積土を集約的に利用することだ。

どちらも、低湿地帯の適切な農業・土地利用に使える情報・資料は充分とはいえない。欠けているのはつぎのような情報と活動だ。(1) 地域環境の劣化状況と修復の可能性、(2) 圃場試験を経た適正技術、(3) 適切な教科書および普及教材と、現地での普及。我々は、このような「持続的土地利用の将来の担い手」が自らフィールド調査を行う取り組みを支援している。今後、内外の研究者による訪問講義や調査実習を現地の学生、住民と合同で実施し、環境の保全と開発を両立させる取り組みを行っていきたい。

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