『小水力発電、今、関西では？』

日時：　10月20日（日）15:00～17:00

場所：　江湖館（同志社大学総合政策科学研究科京町家キャンパス）
　　　　 京都市中京区衣棚通丸太町下る西側
　　　　 （地下鉄烏丸線「丸太町」駅下車徒歩4分程度）
　　　　 詳しい地図はhttp://sosei-si.doshisha.ac.jp/files/map-koukokan.pdf をご覧ください。

●参加費：　無料（準備の都合上、事前のお申し込みをお願いいたします）
　　　　　　　 懇親会ご参加の場合：一般3000円　学生1000円

●申込・お問い合わせ先：　info@moyainet.com (NPO法人平和環境もやいネット事務局)

主催：　NPO法人平和環境もやいネット、
　　　　 同志社大学総合政策科学研究科ソーシャルイノベーション研究センター

お話し：黒田末寿
関西広域小水力利用推進協議会会長、滋賀県立大学名誉教授、NPO法人平和環境もやいネット副理事長。京都大学理学部卒業、同大学院博士課程修了、「ピグミーチンパンジーの社会学的研究」で京大理学博士。京大理学部助教授を経て滋賀県立大学人間科学部教授。『ピグミーチンパンジー』で読売文学賞受賞。

　地球温暖化の防止と脱原発の具体策として、再生可能エネルギーが注目されています。そのうちのひとつ、小水力発電は、1000kW以下の小規模な水力発電を意味し、生態系に大きなダメージを与えずに水のエネルギーを取り出す方法です。環境省や経産省の見積もりによれば、全国で未開発の小水力発電の総発電力は300万〜400万kW。その多くが中部･北陸地方にあり、地形が比較的緩い近畿圏は全体で全国の数％程度です。しかし、この見積もりには数10kW以下の発電ポテンシャルは入っておらず、こうしたものも含めると、近畿圏でもおびただしい数の発電可能な地点があります。1〜2kWの発電力で家1軒/1日の消費電力はまかなえます。電気自動車（EV）を使うには、この2倍で足ります。
　小水力発電の可能地は中山間地に豊富であり、もし、地域主体で採算がとれる事業として建設と維持ができれば、雇用を生み、エネルギーの自給を可能にするので、中山間地の衰退を食い止める強力な手立てになります。ガソリンスタンドがない過疎地では、EVとセットにすれば、移動とエネルギー供給の安全化･安定化ができます。また、化石燃料消費を減らし、かつ、災害に強い小規模分散型のエネルギー源としても有効です。障害は、日本にかつてあった小水力発電装置の技術力が、電気の生産を電力会社の大規模発電に集中する政策により失われて久しく、個別につくらねばならない発電機と維持コストが高くつくことです。政府は、再生可能エネルギーによる電力の固定価格買取制度をつくり、河川の水利用の許認可手続きを大幅に緩和、そして、再生可能エネルギー事業に低利で融資する制度もつくりましたが、小水力発電に関しては普及が遅れています。こうした現状とその克服法について、報告します。

小水力発電って？

　農業用水や小川や谷川の流れを使い、環境に与える負荷を押さえた1千キロワット未満の小規模な水力発電をさす。この場合の｢小規模」は、通常のダムを使う大型水力発電(数十万キロワット)に比較しての意味で、手作りでできる自転車のハブダイナモ級（3〜10W程度）から建設費が10〜20億円かかる1000kW近いものまでを含んでいる。水力発電は、太陽光や風力と違って、一定の水の流れがあれば気象条件に左右されないので、太陽光発電の6〜7倍の効率で発電する。小水力発電による電気は、電力会社が2012年7月から20年間買いとる「自然エネルギーの固定価格買い取り制度（FIT)」の対象になっている。

　台風27号の接近で雨模様の中、16人の聴衆が参加して小水力発電の現状を学んだ。参加した人はもやいネットの常連のほか、初めての方が三人。三野　徹さん（京大農学部農業工学出身）、沢井哲二さん（京都微生物研究所）、小林さん（天理大）。

　 小水力発電はダムが不要で、水車を利用する小規模なものが多数あったが、戦後大電力会社が発電を独占する過程で激減した。今、原発による汚染を契機に再生気運にある。試行されている多数のシステムがスライドで紹介された。売電を目指すと周波数、安定性などの規格を満たすのにコストが高くなるが、家庭１戸１日の必要を満たせすことに重点を置くと、一戸一日１～２ＫＷでいいので、黒田さんは数ＫＷの発電設備とＥＶを組み合わせる方式に注目、試行状況を紹介された。その後活発な話し合いがあり、初参加の方々がもやいネットに入会して頂いた。